オリンピア ナチスの森で 沢木耕太郎著 2016.9.11

September 11, 2016

1936年に開催された、ベルリン・オリンピックを廻ってのルポ。

 

オリンピアとは「民族の祭典」と「美の祭典」から成り立つ、

レニ・リーフェンシュタールが撮影した、

2部構成のベルリン・オリンピックのドキュメンタリー映画、とされているもの。

 

この時代、西暦からもわかるように、ナチスドイツ時代にドイツで催されたオリンピックです。

 

 

 

 

 

 

今簡単にできることが、当たり前ではない、ということ。

文明の進歩、世界情勢の変化について考えさせられました。

 

自分のしたい事をすることが困難な時代です。

交通手段、選手の環境、周りの人々の理解、そして、戦争と人種差別…

 

交通手段は、列車の乗り継ぎ。まず、朝鮮半島に渡って、そこからルートは様々ながら、

満州とソ連の国境を通り、いくつもの国をまたいで、ドイツへ向かうのです。

その間、選手は練習できないし、食事も思い通りにはいかないので、自己管理が大変。

現代になって、飛行機であちこち快適に旅ができていることって…!

 

選手の環境、周りの人々の理解。オリンピックに対して、まだ理解の無い時代、会社を休むのも理解を得るのが大変だし、練習環境も自分で仕事をして、なんとかやりくりする選手たちの様子が描かれていました。今だったら、大喜びされるのに。

家が貧しい人もたくさんいるので、それでもなんとかベルリンへの切符を手にするために、試行錯誤する姿が今の時代との違いを知りました。

 

特に、私はマラソンで金メダルを獲得した、

ソンギジョン選手について、取り上げたいと思います。

彼のことが綴ってある章”故国のために”は印象に残っています。

オリンピアの映画にも、日本選手の中でももっとも長く映っているそうです。

つまり、レニ・リーフェンシュタールの「美」に彼は該当している、ということ。

 

彼は朝鮮の人。

時代は日本に侵略、統治されている時代ですね…。

 

家がとても貧しかったから、道具が必要なスポーツや、友達と遊ぶ時間がない彼は、

ひとりでできる「走ること」しか残らなかったそうです。

貧しいため、印刷工の見習いをしたり、奉公にでたり、穀物問屋で働いたり、

そんな中でも、自分の走る能力を生かしたいと思っていたし、日本へ奉公で出た時、甲子園で優勝したチームが人々から歓迎される様子を見てスポーツで勝つということの晴れがましさを目の当たりにする。

そして、困難な状況でも走ることはずっとやめなかった彼は、マラソンというものがある、ということを知ります。

 

時代背景もありますが、スポーツを通してでしか、自国を支配している日本人を叩き伏せることはできないから、日本人に対しての対抗意識は強く、レースは必ず勝とうとした。

練習はただ走るだけ、でも周りの人の援助でなんとかやりくりをしているソン選手は、経済的な余裕がないため、空腹と闘わなくてはならず、仕事もあるので激しすぎる練習もできないし、走る用具もランニングシューズは高価なため一度もはいたことがなく、用いていたのは足先が割れた、マラソン・タビだったそうです。

 

そんな彼は、ついにオリンピックで優勝するのです。

 

~だが、月桂の冠を頭にかぶせられると、場内には「君が代」が流れ、国旗掲場台には「日の丸」が翻った。孫はうつむきながら、どうしてここで「君が代」が流され、「日の丸」が掲げられなければならないのだろう、と無念の思いで聞いていた。孫基禎は、この時、かつてないほど痛切に「亡国」の悲しみを感じることになったのだった。~ 著書から引用。

 

しかも、帰国してからもほかの日本人選手との対応は全く異なり、

朝鮮総督府は、彼が朝鮮独立のシンボルとなることを恐れ、祝賀会を開くことが許されず、ソン選手自身取り調べを受けたりする目にあいます。

 

そして以後、二度とマラソンを走る機会が訪れることはなかったそうです。

 

 

 

リオオリンピックで難民選手団の人々が出場していたのを思い出しました。

 

人間1人1人の問題ではなく、

国という大きな組織の事情によって自由を奪われる人々は

少しはなくなってきているのでしょうか。

 

時代、国、親、私たちは等しくそれを選べない。

一つのただの命としてこの世にでてしまうしかない。

生きるか、生きないかも選べない。

 

この見えない糸のようなものはなんなのか。

 

私は今、音楽と一緒にいられるし、英語の勉強もしているし、読書もたくさんしていて、

仕事をさせてもらってます。

 

ただ恵まれた環境に生まれて幸運とだけで終わりにしてはいけないような気がするのです。

 

 

 

yuka.

 

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